12月28日に、改正育児・介護休業法の省令(施行規則)が官報に掲載されました。
内容が多岐にわたるので、ここでは概要をご紹介します。実務担当者は必見です!!
(施行は平成22年6月30日です。ただし、15については平成22年4月1日から施行)
★概要のみ紹介
1 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則の一部改正
1 配偶者の範囲の見直し
配偶者の範囲に、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含めることを明記した。
2 育児休業の再度取得要件等の見直し
(1) 育休の再度取得要件及び育休申出の撤回後の再度取得要件に、①子が負傷、疾病等により2週間以上の期間にわたり世話が必要となった場合、②保育所に入所の申込を行ったが当面入所できない場合、を加えた。
(2) 育児休業申出を開始予定日の1週間前までとする特例の対象として、上記①及び②を加えた。
3 育児休業の申出事項等の見直し
(1) 事業主が当該事実を証明する書類の提出を求めることができる対象に、子の出産予定日を加えた。
(2) 「パパ・ママ育休プラス」により1歳を超えて育休をする場合は、当該育休開始予定日が配偶者の育休の初日以後である事実を育休の申出事項に加えるとともに、事業主が当該事実を証明する書類の提出を求めることができる対象に加えた。
(3) 育休申出後、育休開始予定日までに生じた場合には育休申出がされなかったものとみなされる事由として、パパ・ママ育休プラスにより1歳を超えて育休をする場合において配偶者が育休をしなかった場合を加えた。
4 育休申出書等に対する事業主による休業期間等の書面等の明示
(1) 育休申出、開始予定日・終了予定日の変更申出、育休申出の撤回・育休申出がされた後に子が出生したときの通知の方法として、書面の提出のほか、事業主が適当と認める場合は、ファクスによる送信・メール等による送信(労働者・事業主が書面として打ち出せるものに限る。)を認めることとした。
(2) 所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限の請求の方法についても、上記(1)と同様とした。
(3) 事業主は、育児休業申出、開始予定日・終了予定日の変更申出・育休申出撤回された場合には、速やかに、①申出を受けた旨、②休業開始予定日及び休業終了予定日、③休業を拒む場合にあってはその旨及び理由、を労働者に通知しなければならないこととした。
なお、この通知は、書面の交付若しくは労働者が希望する場合はファクス・メールによる送信(労働者が書面として打ち出せるものに限る。)のいずれかの方法でしなければならないこととした。
(4) 労働者からの育休の申出が1か月前までに行われなかった場合における事業主の休業開始予定日の指定の方法として、書面の交付ほか、労働者が希望する場合はファクス・メールによる送信(労働者が書面として打ち出せるものに限る。)を加えた。
(5) 介護休業申出及び終了予定日の変更申出及びこれらの申出がされた場合の事業主の対応についても、育児休業と同様とした。
5 労使協定により育休申出等を拒むことができる労働者及び時間外労働の制限の請求の対象とならない労働者の範囲の見直し
(1) 配偶者が常態として子を養育することができるものとして厚生労働省令で定める者(専業主婦等)である労働者を削除した。
(2) 育休等をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として、いわゆる内縁の妻等が常態として子を養育することができる労働者を削除した。
6 子の看護休暇の取得事由の見直し
子の看護休暇の取得事由に、①子に予防接種を受けさせること、②子に健康診断を受けさせること、を加えるとともに、これらを看護休暇の申出事項及び事業主が事実を証明することができる書類の提出を求めることができる事項に加えた。
7 介護休暇における世話の範囲
介護休暇の対象となる世話の範囲として、①対象家族の介護、②対象家族の通院等の付き添い、対象家族が介護サービスの提供を受けるために必要な手続の代行その他の対象家族に必要な世話、を規定することとした。
8 介護休暇における申出の方法等
(1) 次に掲げる事項を事業主に対して明らかにすることによって行うこととした。
① 労働者の氏名
② 対象家族の氏名及び労働者との続柄
③ 対象家族が祖父母、兄弟姉妹又は孫である場合にあっては、労働者と同居しかつ扶養されている事実
④ 介護休暇を取得する年月日
⑤ 対象家族が要介護状態にある事実
なお、事業主は、労働者に対して、上記②③⑤の事実を証明することができる書類の提出を求めることができることとした。
(2) 子の看護休暇と同様に、①労使協定により週の所定労働日数が2日以下の者を除外できること、②労使協定により除外する場合の必要な手続等は協定の定めるところによること、を規定することとした。
9 労使協定により所定外労働の制限の請求ができないものとすることができる労働者の範囲
1週間の所定労働日数が2日以下の労働者とした。
10 所定外労働の制限の請求の方法
(1) 次に掲げる事項を事業主に申し出ることによって行うこととした。
① 請求の年月日
② 労働者の氏名
③ 子の氏名、生年月日及び請求をする労働者との続柄
④ 制限期間
⑤ 養子である場合には、当該養子縁組の効力が生じた日
(2) 事業主は、労働者に対して、妊娠、出産又は養子縁組の事実を証明することができる書類の提出を求めることができることとした。
(3) 子が請求後に出生したときは、速やかに、事業主に通知しなければならないこととした。なお、この通知は、書面若しくは事業主が適当と認める場合はファクス・メールによる送信(労働者及び事業主が書面として打ち出せるものに限る。)のいずれかの方法でしなければならないこととした。
11 所定外労働の制限の終了事由等
(1) 請求後制限開始予定日までの間に生じた場合に請求がされなかったものとみなす事由として、以下を規定することとした。
① 子の死亡
② 離縁又は養子縁組の取消し
③ 子と同居しないこととなったこと
④ 労働者の負傷等により子を養育することができない状態となったこと
(2) 制限期間の終了事由として、上記(1)を準用することとした。
12 所定労働時間の短縮措置の対象外となる所定労働時間が短い労働者の範囲
1日の所定労働時間が6時間以下の労働者とした。
13 労使協定により所定労働時間の短縮措置の対象外となる労働者の範囲
1週間の所定労働日数が2日以下の労働者とした。
14 労使協定により所定労働時間の短縮措置の対象外となった労働者に対する始業時刻変更等の措置の内容
次のいずれかの方法により講じなければならないこととした。
① フレックスタイム制
② 始業・終業時刻の繰り上げ又は繰り下げ
③ 事業所内保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与
15 調停に係る手続
調停を行うための会議の庶務を都道府県労働局雇用均等室において処理すること等、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則と同様の手続を定めることとした。
16 その他
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則について、所要の規定の整備を行うこととした。
2 その他関係省令の整備
雇用保険法施行規則の一部を改正し、「パパ・ママ育休プラス」の新設により新たに育児休業給付の支給対象となる延長期間につき、その支給要件及び申請手続に関する規定を整備することとした。
改正育児・介護休業法に関して“事業主が講ずべき指針”が示されました
施行規則とともに12月28日、「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」が改正されました。(適用は平成22年6月30日です)
(1)子の看護休暇の弾力的な利用
・時間単位・半日単位での取得を認めることを明記すること
(2)介護休暇に関する事項
・あらかじめ制度が導入され、規則が定められるべきものであること
・証明書類の提出を求める場合には事後の提出を可能とする等、労働者に過重な負担を求めないよう配慮すること
・時間単位又は半日単位での取得を認めるなど配慮すること
(3)所定外労働の制限に関する事項
・あらかじめ制度が導入され、規則が定められるべきものであること
・制度の弾力的な利用が可能となるよう配慮すること
(4)所定労働時間の短縮措置、育児休業に準ずる措置又は始業時刻変更等の措置に関する事項
・あらかじめ、措置の対象者の待遇に関する事項を定め、これを労働者に周知させるための措置を講ずるように配慮すること
・労働者が就業しつつ子を養育することを実質的に容易にする内容とすることに配慮すること
・業務の性質又は業務の実施体制に照らして所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難な業務に該当する例示
(5)不利益な取扱いの禁止
・介護休暇、所定労働時間の短縮措置、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限を対象に加える。
・不利益な取扱いとなる行為の例示
・「減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと」の該当事項追加
・「昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと」の該当事項追加
・「不利益な配置の変更を行うこと」の勘案事項追加
(6)派遣労働者に関する留意事項
・ 派遣元は、派遣労働者に対し、法に基づく措置を適切に講ずる責任があることに留意
http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/07/dl/tp0701-1k.pdf