2007年より始まった団塊の世代の大量退職は、企業にとって深刻な労働力不足という問題を引き起こし、結果として企業活力の低下を招く危険性が指摘されています。早い段階から活力低下を防止する対策を講じなければなりません。その対策のひとつが、パートタイマーの有効活用です。
2008年4月から改正パートタイム労働法がいよいよ施行。
1993年に同法が制定されて以来の大幅な見直しです。
中でも、業務内容や業務に伴う責任などが正社員と同程度の「正社員並みパート」に対し、賃金や処遇、教育訓練の実施、福利厚生などで正社員と差別せず、均衡のとれた処遇をすることを、企業に義務づけた点は注意が必要です。
実はこの法律は労働基準法とは違い、罰則自体は重くはありません(行政指導にとどまります)。
しかしながら、流通、サービス業では法改正に先駆けて、すでに処遇の大幅な見直しを行っている企業も多く、現実は人材確保の面でも幅広い影響を及ぼしています。
重い罰則がないから大したことないや、うちの会社は関係ない!ではなく、パート活用を考えるのであれば、率先して、先手を打つことが実務上求められているのです。
パートタイム労働法の改正ポイント (1)労働条件の文書交付・説明義務 |
これまで努力義務だった労働条件の文書交付による明示(今までは、労働基準法で文書交付を義務づけるもののほか、昇給、退職手当、賞与、安全衛生、職業訓練などに関する事項について文書の交付により明示するように努める、と定められていた)が義務化され、労働基準法施行規則に定める労働契約の期間、始業・終業の時間などに加え、昇給、退職手当、賞与の有無などの明示も義務化されることになりました。
これに違反した場合は10万円以下の過料に処せられることになりました。
また、短時間労働者から求めがあったときは、待遇に関する事項について説明しなければならないことになりました。
期間の定めのない労働契約(反復更新により、期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められるものを含む)を締結している者のうち、その職務内容及び配置の変更の範囲が通常の労働者(いわゆる正社員)と同一であると見込まれる短時間労働者については、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用などについて、差別的取扱いをしてはいけないことになりました。
通常の労働者に実施する教育訓練で、職務遂行上必要な能力を付与するものについては、職務内容が同じ短時間労働者(通常の労働者と同視すべき短時間労働者を除く)に対しても実施しなければならないことになりました。なお、この職務内容が同じ短時間労働者(通常の労働者と同視すべき短時間労働者を除く)については、賃金の決定に関する均衡待遇については今のところ努力義務(罰則なし)となっています。
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事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、次のような措置を短時間労働者に対して講じなければならないことになりました。
■当該事業所の外から通常の労働者を募集する場合には、その雇用する短時間労働者に対して当該募集に関する情報の周知を行う
■社内公募として、短時間労働者に対して、通常の労働者のポストに応募する機会を与える
■一定の資格を有する短時間労働者を対象として試験制度を設ける
事業主は、苦情の自主的な解決を図るよう努めることになりました。
この紛争解決援助の仕組みとして、都道府県労働局長による助言・指導・勧告、紛争調整委員会による調停の対象とすることになりました。なお、対象となる苦情・紛争について事業主が措置しなければならない事項は、労働条件の明示、差別的取扱い、教育訓練、福利厚生施設、通常の労働者への転換、待遇の説明に関する事項などが挙げられます。
エールでは改正パートタイム労働法対応に下記のサポートを行っていますのでお気軽にご相談下さい。
投稿者 横浜市 社会保険労務士法人エール | 港北区・新横浜の社労士がマイナンバー対応&労務問題解決 :2008年3月17日