桜木町駅より徒歩5分。
昔ながらの飲食店が立ち並ぶ「野毛」
桜木町で働く人々や、古くからのヨコハマを愛して止まない地元民の憩いの場です。
そんな野毛の町を70年もの間見守る、1軒の中華料理店があります。
元祖焼き餃子の店として知られる「萬里」。
野毛の町が戦中からヤミ市として人々の生活を支えていた時代、
満州から引き揚げてきた先代が現地の「食」を日本人にも食べてもらいたい、という想いから
焼き餃子を売り始めたのが「萬里」誕生のきっかけです。
25歳でこの店を継いだ3代目社長の福田社長に野毛の魅力について聞いてみました。
「野毛の町は土地が安いからか、飲食店を始めたばかりの素人が多いんですが、
みんなめげずに頑張っている逞しさが感じられるんです」
新旧様々に、個性あふれる店が軒を連ねる野毛の町。
こうでなければといった型のない雰囲気から、
スタッフとお客さんとの絡み、お客さん同士の絡みなど、
突拍子のないことも起こる「ライブ感」が野毛の醍醐味、と福田社長は語ります。
大学時代から飲食店で働き、25歳で萬里を継いだという福田社長。
店を継いだ当時は『野毛を拠点にいつかは多店舗展開ができれば』と考えていたそう。
しかし5年の年月を経て野毛の面白さに気づき、
今は野毛の土地に腰を据えたいと語ってくれました。
「野毛に育ててもらったので地域密着で、野毛の人々を元気にしたい。」
野毛への想いは2代目から引継いでいるのです。
2代目もまた、野毛の町を盛り上げようと「野毛大道芸」を立ち上げた経歴を持つ野毛の発展の立役者です。
そんな2代目の背中を見て育った福田社長も
「地元の人々が楽しく安心できる場所、安定した価格で安定した味を提供できる店に」と思うようになったそう。
福田社長がお客さんに対しても従業員に対しても大切にしていることは1つ。「約束を守ること」
仲間ともお客さんとも信頼関係を築くためにも、できない約束はしない。
双方向性であり、対等な関係性。
たとえお客さんであっても、「他のお客さんが楽しめないな」と感じた場合は
ハッキリと物申すスタッフがいる程。
本来の「憩いの場」としての飲食店の姿を見せてくれるような気持ちよさが
お客さんを魅了するヒケツでもあるようです。
スタッフの多くは野毛周辺から通う方々。年齢も国籍も様々だが萬里のスタッフの共通している点は
「家族のために頑張る」というところです。
最初はアルバイトとして働き始めたが、結婚を期に正社員として働いている、というスタッフも多数。
幼い頃から店を守る家族の姿を見てきているためか、
「家族のために頑張る人が仕事に一生懸命になれるよう、生活する上で困ったことはできる限りサポートしたい」と福田社長は語ります。
「税務署からこんなハガキが来た」
「住宅ローンを組みたいがどうすればいいのかわからない」
「ビザの更新はどうすればいい?」
仕事のことから生活のことまで、自分でわからなければ詳しい専門家に尋ねるという。
「お客様が楽しく、安心できる場所」にするために、まずスタッフがそうであるべき、と語る福田社長。
「お客さんに元気になってもらいたい」
「安心して飲んで食べて楽しんでほしい」
そんな想いを持ちつつも、肩肘はらない雰囲気で迎えてくれるスタッフがいるからこその居心地の良さなのかもしれません。
日中はバリバリ仕事をこなすサラリーマンも「飲む時くらいはだらしなくしたい」とネクタイを緩ませる、
ここに来るとその気持ちがよくわかります。
70年以上経つ今も「地元で働く人が楽しく安心できる場所、
安定した価格で安定した味を提供する店」を守り続ける萬里の福田社長、
そこで働くスタッフの皆さんに、
私たちは全力でバカ真面目にエールをおくります。