こんにちは。社労士もっちーです。
ランダムに労働法に関する知識を発信しています!
本日は「賃金の支払い」について取り上げてみましょう。
賃金の支払いについて、労働基準法第24条に「賃金支払い4原則」といわれるルールがあります。賃金は労働者の生活の原資ですので、確実に支払われるようにするためのルールのことですが、具体的には①通貨払いの原則②直接払いの原則③全額払いの原則④毎月1回以上・定期払いの原則の4つがあります。
この4つの原則には例外規定があるのですが、そのなかに「非常時払い」(労働基準法第25条)があります。
これは、通常は支払期日までに賃金を請求することはできないが、労働者の非常の場合(扶養するものの出産、病気、災害、結婚、死亡など)に限っては、支払期日前に請求したときでも使用者は既往の労働分の賃金を支払わなければならないというモノです(「定期支払いの原則」の例外)。
この「非常時払い」とよく混同されるのが「賃金の前借り」です。
従業員から給料を前借したいと申し出を受けて、応じる義務があるのか迷った経験がある事業主の方もいらっしゃると思いますが、この前借りと「非常時払い」は違うものです。労基法25条で定めている「非常時払い」は、すでに行った労働に対しては給料日前に支払うよう定めています。一方、前借りは、これから行う予定の労働に対して給料を支払うことを意味するので、非常時払いとは違います。従って、会社には前借りに応じる義務は法的にはないのです。
非常時払いを規定した労基法25条は、賃金を唯一の、少なくとも主要な収入源とする労働者に、出産、疾病、災害等の不時の出費を必要とする事情が生じた場合、その賃金の繰上げ払いを請求し得ることとして、一定期日払の原則によっても救い得ない労働者の不便を補ったものです。
ノーワーク・ノーペイの原則で判断するとわかりやすいですが、「非常時払い」は繰上げ払いですので支払いはできますが、前借りは予定の労働に対して給料を支払うことになりますので、法的にはまったく違うものなのです。