2022.01.20

コラム③:整理解雇について

こんにちは。社労士もっちーです。
ランダムに労働法に関する知識を発信しています!
本日は整理解雇について取り上げます。

「解雇」といってもその理由はいろいろありますが、大きく分けると、普通解雇(能力不足による解雇や心身の不調により業務ができないことによる解雇など)、整理解雇(会社の業績悪化等による解雇)、懲戒解雇(横領や不正など違反があった場合、懲戒処分としての解雇)に大別されます。
長引く新型コロナウイルスの影響によって、これまでの延長線上では事業の見通しがたたない、業績悪化で苦労されている企業も多くあり、雇用調整助成金を活用したりしながら雇用維持に苦心される経営者からのご相談も増えています。

ここでは会社都合の解雇(整理解雇)を検討する際に、企業が法的に押さえておかなければならない「整理解雇の4要件」についてみていきましょう。

1970年代、オイルショックにより高度経済成長が終焉し、製造業でかなりのリストラが行われていました。当時、「減量経営」といわれた人員削減が横行しており、そのころに裁判所で争われた判例をもとにして4つの要件が構成されました。
以下に整理解雇の4要件を見てみましょう。

整理解雇の4要件
① 人員削減の必要性
不況や経営不振などにより人員削減をせざるを得ない状態にあるか。
ただし倒産必至まで求められているわけではありません。
② 解雇回避努力
経費削減、資産の見直し、採用停止、配転、出向、希望退職など、解雇回避のためのあらゆる企業努力を尽くしたか。
特に、希望退職などの手続きをとらず、いきなり整理解雇をした場合、その解雇は解雇権濫用として無効とされる可能性があります。
③ 被解雇者選定基準の合理性
ここでいう合理性とは、違法または恣意的な基準であってはならないということです。従業員に説明を求められる部分でしょう。
④ 従業員に誠実に説明義務を果たしたか
労働組合・労働者に整理解雇の必要性、時季・規模・方法等について誠意をもって説明を行う信義則上の義務を経営者は負います。

4つの要件を満たさない場合、その整理解雇は、解雇権濫用により無効と判断される可能性がありますので、企業はこれをふまえた対応が求められることになります。

最近のニュースで、電気自動車への転換について話題になっています。
車のエンジンの内燃機関をモーターに切り替えることで作業工程が大幅に短縮されるそうです。その関係で、すべてモーターに切り替えると100万人の労働者の仕事が失われる(トヨタ社長談)という話がありました。国は、この問題を労働移動(他の業界や職種に移動して働いてもらう)という方向で検討しているようですが、業界では希望退職から整理解雇へ向かう可能性もあります。車製造業の下請けの中小企業の経営にとっては厳しい問題です。
エールでは、企業様からのご相談に幅広く対応しています。何かあれば早い段階でご相談いただければ選択肢ももつことができますので、まずはお話をきかせてください。